初体験は陛下と共に
【2014年5月文楽公演@東京】
七世竹本住大夫 引退公演『 恋女房染分手綱 沓掛村の段(切)』
( こいにょうぼうそめわけのたづな くつかけむらのだん )
私が文楽にハマったきっかけは、2014年の5月公演。
その数年前にラジオで住師匠を知り、いつか文楽というものを見てみたいなぁと憧れを抱きつつも月日は流れ、引退報道に気付いた時には、もはやチケットは完売状態でした。
文楽初体験で陛下とバッティング!?
それでも一目見たいとキャンセル待ちをし、ようやくのことで末席をゲット♪
出向いたその日は、偶然にも 天覧日 でした。
撮影OKをいいことに、報道カメラの隙間を縫ってパシャパシャ写メする我ら下じもの者達。
世が世なら「無礼者!」とナデ切りにされて当然な輩にさえ、礼儀正しくにこやかに会釈をなさる天皇陛下。
(おお~っ!人間の格が違う!!優しさオーラはんぱなし!!!)
( ↑ にこにこショットじゃなくてゴメンなさい。会釈されて思わずペコリm(_ _)m。他の写真はピンボケしてました)
しばらくするとアナウンスが流れ、会場後方にあるVIP席から笑顔で手を振るお姿が見えると、客席はスタンディングオベーションで沸き返りました。
「 陛下も お好きでんなぁ♪ 」と、一気に連帯感とボルテージが上がった場内。
“ 打ち首獄門 ” 級の不謹慎な例えでお許し願へば、史上最強の前座・前説が お客さんを温めた 感じ?
住&錦糸 両師匠が登場した時には、地鳴りのような拍手 が起こりました。
名人最後の舞台
引退狂言は、『 恋女房染分手綱 沓掛村の段(切)』。
お家騒動に巻き込まれ、馬方に身をやつしながらも主人へ忠義を尽くす家臣が、いよいよ敵打ちに向かおうという夜に、また一波乱起きるという場面。
忠義な息子に疑念を抱いた母親の愁嘆場からサスペンスフルな立ち回りへと、物語は目まぐるしく転換していきます。
文楽初体験の私でしたが、住師匠が後半シンドそうになっているのが声の調子から分かりました。
2か月間に渡った興行も終盤に入り、満身創痍の老兵が渾身の力で闘っているようでした。
時にかすれ、もたつきそうになるのを錦糸師匠の三味線が鼓舞し、最後まで支え続けました。
語り終え、深々と頭を下げた二人には、まさに 万雷の拍手 が降り注ぎ、姿が見えなくなっても感動の渦は冷めやりませんでした。
住太夫師匠の落とし種
引き際に見せた住師匠の慈味溢れる語りと圧倒的な気迫に、私の心はガッシリとつかまれました。
文楽の虜となって丸2年、図らずもその世代交代の時期に遭遇していることを実感しています。
まだヨチヨチ歩きの初心者ですが、今見たこと、感じたこと、学んだことを、つれづれに書き留めておこうと思い立ちました。
もし、このブログが誰かのためになったとしたら、それは住師匠のお蔭なんですよ~。
(いや、陛下のお力も30%ぐらいあるかな?)
もう一つの趣味 = 落語鑑賞の記録と合わせ、それぞれの公演の様子を随時UPしていきたいと思います。
のんびりとお付き合い頂けると幸甚です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
2016年7月吉日
【参考】
「良きご縁をいただいた」 住大夫さんが最後の舞台(共同通信社 YouTube公式チャンネル)